第87章

グリスナの胸の内に渦巻く小さな思惑など、兄妹は知る由もない。昼食を終えると、エイモスとアリシアは帰る支度を始めた。

 せっかくの休暇で帰ってきた子どもたちが、家にいたのは一日にも満たない。グリスナとしては名残惜しくてたまらなかったが、軍団と学院の規則がある以上、引き留めるわけにもいかない。結局、彼女は未練を飲み込み、使用人たちに命じて、兄妹のために持ち帰りの荷をまた山ほど用意させた。

 そこへ――戻ってから姿を見せていなかった執事エレンが、大きな包みを抱えてアリシアの前に現れた。

「お嬢様。ご所望の品でございます」

 半月ぶりに見るアラクラネの魔蛛が、執事の肩の上でちょこんと座ってい...

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